【自ら答えを出したい人必見!】 13歳からのアート思考
皆さんは「アート思考」という言葉をご存じでしょうか?
アート思考とは「自分なりのものの見方・考え方」を依り代にして、深く熟考することであると私は解釈をしています。
つまり、自分の興味や関心に対して、外側から得た答えや表面的な知識ではなくて、どこに興味があるのか、何故興味があるのかと深く広く思考することです。
昨今このアート思考が世間で広まり、関心を集めています。
アートへの興味の有る無しに関係なく、アート思考を学ぶことで新しいものの見方や気づきを得られたり、常識にとらわれない視点を身に付けることができるためです。
今回ご紹介する「13歳からのアート思考」という本はアート思考とは何かを実践的に楽しみながら学ぶことができる良書となっています。
私自身はアートへの興味に目覚めて、「アートが好きになった理由とは何か?」を追求したいという思いから本書を手に取りました。
皆さんは自分の興味や関心のあることはありますか?
それを追求していきたいとは思いませんか?
人から与えられた答えではなくて、自分だけの答えを見つけたいとは思いませんか?
現代は簡単に答えが得られてしまう時代で、調べれば理解などせずとも課題を解決することができてしまったりします。
しかし、自分の外にある答えは誰かの答えです。
自分自身のものの見方を認識して、新しい視点で物事を捉えたい方は是非ご一読ください。
常識を覆す現代アート
13歳からのアート思考では6人のアーティストとそれぞれが出した作品を鑑賞しながら、自らの考えを深めていきます。
ポイントは作品を見て観察し、感じたことや考えたこと・その理由をアウトプットすることです。
上にある画像はマルセルデュシャンというアーティストの「fountain(泉)」という作品です。
本書でも紹介されていますが、これは既製品である男性の小便器にデュシャンがサインをしたもので、これを美術展に出そうとしました。→断られたようですが…。
作品の裏側を知ると作品に対して興味がわいてきたのではないでしょうか?
何故既製品を美術展に出品しようとしたのか?そもそも既製品を出すことはアート作品として成立するのか?この作品に一体どんな思いや考えを込めて出品したのか?…等々疑問に思うことは沢山ありますよね?
現代アートと呼ばれる作品の中でも本書で紹介されているアーティストは作品を通して、それまでの常識に縛られない、新しい表現の形やそもそもアートとは何だろうかという問いを投げかけているのです。
時に、美術館に行ったときや展示してある作品を見るときなどに、作品を眺めてしっかりと観察することってありますか?
私はこれまで様々な美術館に行ってきましたが、じっくりと作品を鑑賞して、作者の想いや考え、裏側といったものを考えたりすることはほとんどありませんでした。
作品の近くにある紹介文などは細かく全てを読み、そこに対して考察をしたりするということはあっても、中々その場でこれは何だろう?とか、どうやって作り、何を表現したいのだろうと考えることは中々ないんじゃないでしょうか。
つまり、技巧的に優れた作品を見て、人間業とは思えない表現力を堪能し、その裏側の知識をちょっと身に付けておけば、話もできるし、教養が深まったと満足して終わることが多いということです。
しかし、それでは作品を見ただけであり、鑑賞したとは言えないということです。
何故なら、作品の中に何を見出すのか、そこに正解はなく、それを自分の興味に照らしながら深ぼることこそが、真にアートをアートたらしめることだからです。
本著ではこれらの作品を通しながら、私たちの作り出している常識や思い込み・バイアスを一つ一つ打ち砕き、自分の内面的な興味の深堀をさせてくれます。
様々な観点や物事から眺めてみることで、自分自身の志向性やバイアスに気付くことができるのです。
本著を読む際はノートとペンを用意して、必ずアウトプットできる環境を用意しておくことをお勧めします。
答えを出すのではなく、興味を追求すること
本書を読んで改めてアート思考を学ぶ意義とは「1つのことを深く探求すること」ではないかと考えています。
先に紹介したマルセルデュシャンの作品も調べれば多くの人がその作品に対しての見解やアートとしての鑑賞のポイントなどを説明されていると思います。
しかし、作品を通して何を考えたのか、何を感じたのかは人それぞれ異なると思います。
何を感じたのか?何故そう感じたのかを自らに問いかけ模索することこそアート思考の意義であり、本書を通して実践していくことでもあります。
他人が出した答えではなく、自ら答えを求めて・探していくその道のりが、その向かう先が自分にとって本当に興味があることに繋がっていくのです。
皆様は今しているお仕事や学業が心から興味があってやっていることでしょうか?
私は学生の頃、心理学や語学・プログラミングなど自分の興味を中心に講義を取り、将来役に立つかはあまり意識しませんでした。
本来の専攻は経済学や経営学だったのですが、そちらは全く興味が持てず、単位を取るための勉強だけしていたような感じです。
しかし、結果として興味をもって取り組んでいた内容は自分の中にずっと生き続けて、実際に役に立つことも多いです。
現代の社会は従来の決まった答えがどこかにあるという社会ではなく、自ら答えを出して決断して、実行していく社会です。
そのようになりつつあるのではなく、SNSの発達や社会の構造の変化を受けて、既にこの構図の社会になっているのです。
そのような現代において、誰かの唱えることに右往左往せずに、自分の内面にある興味を追求していくことが結果として、成果を出し・自分の人生を豊かにしていくことに繋がっていくのです。
そうは言っても中々実践するのは難しいということもあるかと思います。
私自身アニメーション作りやゲーム作り・小説やブログを書いたりということを通して、多くの人の心をワクワクさせることをしたいと思い、行動していますが、こんなことをして仕事に繋がるのだろうかと考えては不安になります。
本書の中で紹介されているスティーブ・ジョブズの言葉がとても心に刺さりますので、紹介したいと思います。
点と点で繋がるというこの言葉は、一見何の関係もないと思えたことが後々に繋がっていくという言葉です。
ジョブズが学生時代に学んでいた「カリグラフィー(文字を美しく見せるための手法)」がその数年後にマッキントッシュとして、フォントが美しいPCを生み出すことに繋がったのです。
現在何か目標があって行動している方も、そうでない方も、今やっていることには何の意味もないと感じるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
未来は誰にも分かりません。
一つだけ確かなことは今この瞬間は私たちにとって唯一の時間ということだけです。
本当に大切なことは今という時間を自分にとって有意義な時間にすることだと思います。
有意義な時間を過ごすためにも本当の興味を自分の中に育てていきましょう。
本書を読むことによってそのきっかけをつかむことができると思います。
あとがき
アート思考の本は本書で2冊目となりましたが、非常にわかりやすく、また興味の持てる内容となっており、大変勉強になりました。
特にアートの作品に対して、何を感じるか・なぜそう感じるかという深ぼるような視点を持ち合わせてはいなくて、あくまで表面的に見えているものに対して、感想を述べたり、思いを膨らませていました。
しかし、一つのことに対して深く考え、自らの答えを探っていくプロセスが有意義であり、また楽しくもありました。
自分の考えは浅はかで間違っていると思い、世間で言われる常識にばかり目を向けていましたが、そんな日々に一点の光を当ててくれたのが本書であり、自ら思考する楽しさと必要性に気づかせて頂きました。
興味を持った皆様も是非一度、手に取って読んで欲しい一冊です。
きっと日々の中で埋もれてしまっている感動に出会えるのではないかと思います。
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